「老齢基礎年金」と言ったら、国民年金のことです。
「老齢厚生年金」と言ったら、厚生年金のことです。
DCだのiDeCoだの、同じものを色々な呼び方をして一体日本という国は何がしたいのか分かりませんね。
こんな訳の分からない日本で暮らす以上、国の用意した制度を最大限に利用する善良な国民となるべく、個人型確定拠出年金について学んできました。
<過去記事>
-1.個人型確定拠出年金とは
-2.そもそも今の年金制度ってどうなってるの?
3.年金制度はちょっとずつ変わっている。
2016年11月の法改正で、年金受給資格期間(年金を受け取る資格を得るために、保険料を納め続けなければならない期間)が25年から10年に短縮されました。※平成29年9月分から対象。
最低納付期間が300か月から120か月に縮まったということですね。納付側(私たち)にとってはありがたいことだと思います。
また、マクロ経済スライド制度というものが導入されました。詳しくはわかりませんが、受給金額に大きく関わる制度です。
今まで年金は物価に連動してきました。物価が2%上がれば年金受給額も2%アップしていたということです。
このマクロ経済スライド制度の導入によって、物価上昇率と平均賃金上昇率を比べて低い方を採用というやり方に変わりました。平均賃金上昇率はざっくり1%。
つまり物価が2%上がっても年金受給額は1%しか上がらないということです。
安倍さんがずっと賃金上昇を謳っていたのはこういうことも含まれていたのかも?と今となっては思いますが、あんまり結果は芳しくないですよね。特に弱小企業に勤めていると、景気が上向いているなんてこれっぽっちも体感できません。
早い話、年金が目減りするってことですね。こちらは受給側(私たち)にとって全然ありがたくない変更です。
このように年金制度は、良い方にも悪い方にもちょっとずつ変っていっています。
4.確定拠出年金ってそもそも何をする制度なのか。
セミナーでいただいた資料の文言をそっくりそのまま書き記します。
加入者自ら運用し掛け金と運用益の合計額で将来の給付額(年金額)が決定する
という制度です。
運用益(うんようえき)とは、簡単にいうと利益や利息のことですね。
運用と書かれると投資的なものを想像して腰が引けてしまいますが、定期預金や保険も含んでいます。もちろん投資商品も普通にありますので、好きなものを選んで掛け金を支払っていったら良いのです。何を選んでもいいなんて、ちょっとワクワクする年金です。
確定拠出年金は、国民年金に上積みされます。
また確定拠出年金は、企業型と個人型があります。
企業型(企業年金)は、会社が掛け金を負担してくれます。
個人型(個人年金)は、自分が掛け金を負担します。
個人型確定拠出年金は、その名の通り、自分で掛け金を負担する個人年金です。
今までは個人型を利用できる人が限定されていましたが、2017年1月より対象が広がりました。
企業年金は、やっている会社とやっていない会社があります。やっていない会社の人は個人年金を利用できましたが、企業年金をやっている会社の人は個人年金の加入資格がありませんでした。
が、この度の対象拡大により、企業年金に加入している人も個人年金に加入できるようになりました。
それだけ国が将来の年金制度の危機感を持っているということですね。国民年金・厚生年金・企業年金だけでは足りないぞと……恐ろしいメッセージです。
ちなみに私の職場はやっていませんでした。そうだろうと思っていました。
5.個人型確定拠出年金のメリットとデメリット
5−1.メリット
「税制優遇」が大きなメリットです。
①掛け金の税制優遇
掛け金は全額所得控除されます。住民税・所得税から引いてもらえます。全額ですよ。これは凄い!
もともと住民税がかかっていない人にはたいしたメリットではないですが、会社員にはありがたい制度です。住民税が引かれるのは翌年なのでありがたさが身にしみるのに時間がかかりますが、どう考えても個人型確定拠出年金をしない理由がありません。私はふるさと納税レベルに「むしろしないと損」くらいの気持ちになり、即座にやることを決意しました。
②運用益が非課税
国は何にでも税金を掛けてきますね。一番身近なのは消費税ですが、ガソリンは二重課税などと言われ、車がないと生活できない田舎暮らしとしては腹立たしい限りです。
だいたい利益が出るものには根こそぎ税金を掛けてくるので、貯金の利息にもいつの間にか掛かっています。
先日、月1万×12か月の積立の満期が来たのですが、12万円に対して16円の利息がつき、2円が税金で持っていかれました。この利息も運用益です。なのでたかが16円といえど無慈悲に課税されるのです。
個人型確定拠出年金で運用を行うと、定期預金にしろ投資にしろ、いくばくかの運用益というものが発生します。
通常ならば、この運用益に対して課税されます。大雑把にいって20%くらい。10,000円使って100円儲けていたら、20円は税金で持っていかれて、10,080円が手元に残るということですね。
10,000+(100-(100×0.2))=10,080円 という式です。
税金は運用益に掛かるので、元手(10,000円)はそのままです。
この運用益に対する税金が非課税(=税金を掛けない)になります。つまり、
10,000+100=10,100円 が手元に残ります。その差は20円。
今回は100円の利益で説明しましたが、これがもっと桁の多い金額になると……非課税ってホントありがたいですね。今はまだ取らぬ狸の皮算用ですけども。
この運用益非課税はNISAも同様です。
③受取り時の税金が安い
年金を受取る時にも税金が掛かるのですよ。信じられません。なんという国の制度。
詳しいことはこれっぽっちも分かりませんが、年金として受取る時は「雑所得」、一時金として受取れば「退職所得」として所得税が課税されるそうです。
その税金を安くしてくれるそうです。税金が掛かるという時点で全然嬉しくないですが、安くなる分には良い……のかな?(気持ち的に納得いかない)
5−2.デメリット
メリットがあれば、もちろんデメリットもあります。
①60歳まで途中解約できない
一度始めたら、たとえ自分のお金といえど手出しができません。強制的に貯金がしたいという人にとっては、逆にメリットになりますね。何もしなくても勝手にお金が貯まります。
②手数料がかかる
個人型確定拠出年金を扱う機関はさまざまですが、もれなく手数料が掛かります。
加入時の1回だけのものと、毎月の口座管理手数料です。
私たちは「国民年金基金連合会(定額)」「事務委託先金融機関(定額)」「窓口になる金融機関(金融機関ごとに異なる)」それぞれに手数料を払うことになります。定額のものは仕方ないですが、申し込みをする機関によって手数料の額が変わってきます。
その手数料は、月々の掛け金から差っ引かれます。
つまり、月々の手数料が安ければ安いほど、自分の持ち分が多めにキープされるということです。
ちなみに私は、楽天証券で申し込みました。これが吉と出るか凶と出るかは、20年後(60歳)になってみないと分かりません。
楽天証券の回し者ではありませんが、楽天証券は、年金資産口座の残高が10万円を超えると、楽天証券自身の口座管理手数料が0円になるそうです。つまり、60歳までという時間を考えると口座管理手数料が安い期間の方が多い(※)というメリットがあるのです。あと、証券口座は楽天しか持ってないので選択肢がそれほどなかったという…ね。
※楽天証券の手数料は0円になりますが、国民年金基金連合会と事務委託先金融機関の手数料は引き続きかかるので、「口座管理手数料」自体が0円になることはありません。
続きます。
受講時の記憶とメモを頼りにまとめているため、間違っている箇所があるかもしれません。ご指摘いただけたらと思います。